iPSから人工心筋作製 圧力加え「成人並み」に 理研などが手法開発
理化学研究所などはiPS細胞から、ヒトの成人の心臓に構造や機能が近い心筋を作る手法を開
発した。もととなる心臓を形作る細胞などに圧力を加えると組織が成熟した。心筋をラットに移植すると心機能が改善した。5~10年内にヒトヘの移植を目指す。
国際科学誌「ステム・セル・リポーツ 」に論文が掲載された。
心筋は心臓の壁を構成する筋肉で、全身へ血液を送り出すポンプの役割を果たす。心筋が損傷す
ると心筋梗塞などが生じるが、根本的な治療は心臓移植しかない。iPS細胞から人工心筋を作っ
て移植できれば代替手段になり得る。
ただiPS細胞から作った従来の人工心筋は胎児期の心筋に近く、収縮力が弱いなどの欠点があ
った。研究チームは心臓が体内で圧力を受けながら成熟することに着目し、圧力を心筋に与える
方法や条件を検討した。
実験の結果、2週間培養した人工心筋に、ヒトの正常血圧の3倍に相当する圧力を一日1時間、
計3日間与えると収縮機能が高まり、成熟した組織になることが分かった。
効果を確かめるため、開発した手法で作った人工心筋を心筋梗塞になったラットに移植した。4
週間後には心機能が改善した。今後は人工心筋を大型化する技術の開発や、有効性・安全性を詳
しく調べる方針だ。
(日経新聞 2026.7.25)
参考
胎児循環は胎児期特有の動脈管と卵円孔という生理的シャントをもち、胎盤で酸素化された血液の55%は臍帯静脈から静脈管を経由して下大静脈(inferior vena cava: IVC)、卵円孔から左心房を経て左心室、大動脈へと循環する。
また酸素化されていない残りの肝静脈からの血流と上半身から戻ってくる上大静脈からの血流は右心房に入り、三尖弁を通って右心室、肺動脈へと循環する。
肺へはほとんど血液が流入せずに動脈管を通って下行大動脈へと流入する。
結果的に両心室から並行して体循環へと流れていくが、最も酸素濃度が高い血液は脳と冠循環に供給される。
右室の下流には胎盤血流があり、左室の下流には胎児の頭部血流があると考えられる。
胎児循環の病態生理を考えるうえで前負荷、後負荷、心収縮力、心室の硬さ、心拍数は必要な要素となるため、upstream, downstreamの血管抵抗との関係性を考慮することが必要となる。
https://jpccs.jp/10.9794/jspccs.40.103/data/index.html
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