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包括的老年医学的評価 (CGA)

包括的老年医学的評価 (CGA)  高齢者の医療、 心理社会、 機能的能力を多角的に評価し、 個別のケアプランを策定するための多次元的かつ多職種連携のプロセスである。  特に虚弱な高齢者や入院患者において、 死亡率の低下、 施設入所回避、 機能的アウトカムの改善に寄与するゴールドスタンダードとされている。 CGAは、 単に疾患を評価するだけでなく、 高齢者の全体的な健康状態とニーズを把握することを目的としている。 ■ 評価領域 CGAの主要な評価領域には、 以下の項目が含まれる。 機能状態 (ADL、 IADL) 認知機能 精神状態 (うつ、 せん妄など) 栄養状態 併存疾患 ポリファーマシー 老年症候群 (転倒リスク、 尿失禁、 視覚・聴覚障害など) ■ CGAの目的と効果 CGAは、 高齢者の治療耐容性、 有害事象、 合併症、 治療完遂率、 QOLなどを予測するために用いられる。 入院患者 :  死亡率の低下、 施設入所回避、 転倒リスクや褥瘡の減少、 せん妄リスクの減少に有効性が示されている。 地域在住高齢者 :  機能状態の改善、 QOLの向上、 死亡率や入院率の減少に寄与する可能性が示唆されている。 がん患者 :  治療関連毒性や術後合併症の予測、 治療計画の個別化に有用であり、 特に外科治療においては術後合併症やせん妄の予測に役立つ。 ■日本におけるCGAの現状と課題  日本では、 CGAの臨床的価値が確認されているものの、 その実施は老年医学専門医や一部の医療機関に限定されており、 一般診療への普及が課題となっている。  日本老年医学会は、 CGAと 「5Msフレームワーク」 (Mind、 Mobility、 Medications、 Multicomplexity、 Matters Most) を統合した 「CGA-5Ms」 を提唱し、 より実践的な評価モデルの普及を目指している。  

肺がん手術の平均年齢

肺がん手術の平均年齢 高齢であること自体が手術の禁忌とはならず、 患者の全身状態や併存疾患を考慮した個別化された治療選択が重要である。 肺がん患者は高齢化が進んでおり、 新規肺がん患者の約半数が70歳以上 であるという報告もある。 ■ 年齢に関する研究報告 JCOG0802/WJOG4607L試験のサブグループ解析では、 70歳以上の患者群において、 肺葉切除術と比較して 区域切除術で5年全生存率が有意に改善 したと報告されている (肺葉切除術77.1% vs 区域切除術85.6%)。 高齢患者に対する肺切除術は比較的安全であり、 年齢のみで根治的切除の適応を制限すべきではない とされている。 併存疾患や身体機能が良好な高齢患者であれば、 若年者と同様の治療が考慮される。 高齢患者では、 術後の合併症や認知機能低下のリスクも考慮する必要がある。 ■ 手術適応の判断  肺がんの手術適応は、 年齢だけでなく、 患者の全身状態、 併存疾患、 腫瘍の病期、 組織型などを総合的に評価して決定される。  特に、 術前の 包括的老年医学的評価 (CGA) が推奨されている。 参考 包括的老年医学的評価 (CGA)  https://ewsnoopynaika.blogspot.com/2026/04/cga.html

膵臓がん治療薬「ダラクソンラシブ」

  膵臓がん治療薬「ダラクソンラシブ」 バイオテック企業の米レボリューション・メディシンズ(Revolution Medicines)が開発中の膵臓がん治療薬「ダラクソンラシブ、 daraxonrasib  開発名 RMC-6236」が、第3相臨床試験(Phase 3)で従来の化学療法と比較し生存期間を約2倍に延ばし、死亡リスクを60%低下させる高い効果を示しました。  この結果に関する詳細は以下の通りです。  ・画期的な成果: 難治性の膵臓がん(RAS遺伝子変異)において、生存期間を劇的に改善する可能性が示された。 (新聞には、「転移性膵管腺がん(PDAC」と記載されている) ・薬剤の特徴: 口から1回服用する「経口薬(RAS阻害剤)」であり、外来・在宅治療への移行が期待される。 ・副作用: 従来の抗がん剤に比べ、身体への負担が少ない可能性がある(詳細な安全性データは別途解析)。 ・今後の展開: 今回の第3相試験(Phase 3)の良好な結果を受け、迅速な承認申請が期待されている。  これまで治療が困難であった進行膵臓がんの治療において「ブレークスルーセラピー(画期的治療薬)」 と評価されている。 (米食品医薬品局(FDA)は2025年6月にダラクソンラシブを既存薬よりも高い治療効果を示す「画期的治療薬」に指定) 日経新聞・朝刊 2026.4.14 一部改変 コメント; 文中の「RAS阻害剤」は、降圧剤として現在、高血圧患者に処方されていますが、きわめて安価な薬剤です。 薬価がどのくらいになるのでしょうか。

糖尿病患者は「薬剤支出に見合う恩恵」を享受せず

  糖尿病患者は「薬剤支出に見合う恩恵」を享受せず 米国の実態調査 https://medical-tribune.co.jp/rensai/articles/?blogid=11&entryid=571026 ばかにならない糖尿病治療薬のコスト 日本の処方薬売り上げを見ると、多くの抗がん剤が上位を占める中、糖尿病治療薬もトップ20内に3剤がランクインしていた。   一方米国では、糖尿病治療薬への支出額高騰を、「臨床転機」という観点から「要検討」と主張する論文が現れた。 米国における糖尿病治療薬への患者支出は、想像以上に急騰していた。それに見合うだけのメリットを、患者は享受できたのだろうか。 糖尿病治療薬支払額は2012年以降に急騰 最近出た、米国の論文では、1年・1人当たりの糖尿病治療薬支払額は2000~22年に、335%も増加していた、という結果が出た。   ただし、この上昇は一定のペースで続いたわけではなく、2000~12年の上昇幅は平均して29米ドル/年と、比較的穏やかだった。しかし2012年以降、事態は一変する。上昇幅は年間平均224米ドル/年へ跳ね上がった。 支出急騰の主因は「新規非インスリン製剤」 一体何が起きたのかを、糖尿病治療薬別に検討した論文がある。 対象となった薬剤は ①  従来経口薬(メトホルミン、SU薬、チアゾリジン系薬、αグルコシダーゼ阻害薬、グリニド薬) ➁  新規非インスリン製剤(GLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害薬、DPP-4阻害薬、アミリン誘導体、およびこれらを含む配合剤) ➂  ヒト・インスリン製剤 ④  インスリン誘導体 の4種類である。  解析の結果、2012年以降の治療費支出急増をもたらしたのは、「新規非インスリン製剤」への支払い増加が主因だった結論づけられた。   「新規非インスリン製剤」への支払額増加幅を追うと、2005~14年には1人当たり36米ドル/年だったが、2014~22年には204米ドル/年まで急騰していた。   「従来経口薬」と「ヒト・インスリン製剤」への1人当たり年間支出は、2014~22年にかけておおむね減少傾向を示し、インスリン誘導体は2013~22年まで、1人当たりほぼ64米ドル/年で一...

高血圧と減塩効果

高血圧と減塩効果 高血圧患者における塩分制限は、 血圧を低下させる効果的な非薬物療法である。  世界保健機関 (WHO) は1日5g未満の食塩摂取を推奨しており、 日本高血圧学会も高血圧患者に対して1日6g未満を目標としている。 https://www.carenet.com/news/general/carenet/61350 (要ログイン) 過剰な塩分摂取は高血圧のリスクを高め、 脳卒中や心血管疾患、 腎臓病のリスク増加につながる。  塩分制限による血圧低下効果は、 高血圧患者でより顕著だが、 正常血圧者でも認められる。 ■ 塩分制限の目標  WHOは成人に対し1日5g未満の食塩摂取を推奨している。  日本高血圧学会は、 高血圧患者の食塩摂取目標を1日6g未満としている。 ■ 塩分制限による血圧低下効果  複数の研究で、 塩分摂取量を減らすことで収縮期・拡張期血圧が有意に低下することが示されている。 例えば、 1日4.4gの塩分摂取量削減で、 収縮期血圧が平均4.18mmHg、 拡張期血圧が平均2.06mmHg低下したという報告がある。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23558162/ ■ 塩分摂取量の評価方法   24時間蓄尿によるナトリウム排泄量測定が最も正確な評価方法とされるが、 日常的には随時尿を用いた推定式 (田中の式など) も利用される。 また、 尿中ナトリウム/カリウム比 (尿ナトカリ比) も、 食塩とカリウムの摂取量バランスを評価する指標として有用である。 ■ 減塩以外の生活習慣改善  高血圧治療においては、 減塩に加えてDASH食 (Dietary Approaches to Stop Hypertension) のような健康的な食事、 適度な運動、 体重管理、 飲酒制限なども推奨される。  特にDASH食は、 他の非薬物療法と比較して血圧低下効果が最も高い可能性が示されている。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32975166/ ■ 薬剤との関連  厳重な減塩療法中の患者にアンジオテンシン変換酵素阻害薬 (ACE阻害薬) やアンジオテンシンII受容体拮抗薬 (ARB) を投与する際は、 初回...

HDL亜分画

  HDL亜分画 HDLは多様な亜分画から構成され、 それぞれが異なる生理機能を持つ。  HDLコレステロール (HDL-C) 値は心血管疾患 (CVD) リスクと逆相関するが、 HDLの機能性や粒子数、 亜分画の組成がCVDリスクにより強く関連すると考えられている 。 HDLは、 そのサイズやアポリポタンパク質含有量によって多様な亜分画に分類される。  HDLの機能には、 コレステロール逆転送、 抗炎症作用、 抗酸化作用、 血管内皮機能の促進などがある。 コメント; 一般的には、 コレステロール逆転送のみが強調され「 抗炎症作用、 抗酸化作用、 血管内皮機能の促進」についてはあまり触れられていません。 ■ HDL亜分画と機能性 HDLはコレステロールを末梢組織から肝臓へ輸送する 「コレステロール逆転送」 において重要な役割を果たす。 小型の高密度なHDL3は、 LDLの酸化損傷からの保護に特に有効である可能性がある。 HDLの抗酸化作用は、 パラオキソナーゼ1 (PON1) などの酵素によって媒介される。 HDLの機能性は、 その構成成分 (アポリポタンパク質、 酵素、 脂質など) によって影響を受ける。  例えば、 2型糖尿病患者では、 HDL-C値が正常でもHDLの機能異常が認められることがある。 コメント; HDL2については言及されていません。 ■ 臨床的意義 従来のHDL-C値だけでなく、 HDL粒子数や亜分画の測定がCVDリスク予測の改善に繋がる可能性が示唆されている。 HDLの機能性に着目した治療法の開発が期待されているが、 HDL-Cを増加させる薬剤がCVDイベントを減少させるとは限らないことが示されている。 肥満患者における急速な体重減少は、 HDLの構造と機能性を改善する可能性がある。 コメント; 「急速な」体重減 少が重要というところが少し引っ掛かります。
  DES留置後AF患者、 NOAC単剤は併用療法に非劣性 https://hokuto.app/post/YyXEvFg5yky7745GFdpz (要ログイン) ・ 韓国の研究グループは、薬剤溶出ステント (DES) 留置1年以上の心房細動 (AF) 患者を対象に、 純臨床有害事象 (NACE) を評価項目として、 非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬 (NOAC) 単剤療法のクロピドグレル併用療法に対する非劣性を検証した。   ・ その結果、 12ヵ月時NACEの発生率は、 単剤療法群で9.6%、 併用療法群で17.2%、 絶対差-7.6%㌽ (95.2%CI -11.9~-3.3%㌽;非劣性p値<0.001) であり、 非劣性が示された。  試験結果はNEJM誌に発表された。  ・ガイドラインでの推奨にもかかわらず、 薬剤溶出ステント (DES) 留置後の心房細動 (AF) 患者への非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬 (NOAC) 単剤療法に関するエビデンスは不足している。 ・多施設共同非盲検無作為化比較試験であり、 DES留置後1年以上のAF患者を対象に、 NOAC単剤療法群の併用療法 (NOAC+クロピドグレル) 群に対する非劣性を検証。 ・主要評価項目は、 全死亡、 心筋梗塞、 ステント血栓症、 脳卒中、 全身性塞栓症、 大出血または臨床的意義のある非大出血の複合からなる純臨床有害事象 (NACE) とし12ヵ月追跡。 ・DES留置後1年以上のAF患者に対するNOAC単剤療法は、 NACEにおいて、 併用療法に対し非劣性であった。