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膵臓がん治療薬「ダラクソンラシブ」

  膵臓がん治療薬「ダラクソンラシブ」 バイオテック企業の米レボリューション・メディシンズ(Revolution Medicines)が開発中の膵臓がん治療薬「ダラクソンラシブ、 daraxonrasib  開発名 RMC-6236」が、第3相臨床試験(Phase 3)で従来の化学療法と比較し生存期間を約2倍に延ばし、死亡リスクを60%低下させる高い効果を示しました。  この結果に関する詳細は以下の通りです。  ・画期的な成果: 難治性の膵臓がん(RAS遺伝子変異)において、生存期間を劇的に改善する可能性が示された。 (新聞には、「転移性膵管腺がん(PDAC」と記載されている) ・薬剤の特徴: 口から1回服用する「経口薬(RAS阻害剤)」であり、外来・在宅治療への移行が期待される。 ・副作用: 従来の抗がん剤に比べ、身体への負担が少ない可能性がある(詳細な安全性データは別途解析)。 ・今後の展開: 今回の第3相試験(Phase 3)の良好な結果を受け、迅速な承認申請が期待されている。  これまで治療が困難であった進行膵臓がんの治療において「ブレークスルーセラピー(画期的治療薬)」 と評価されている。 (米食品医薬品局(FDA)は2025年6月にダラクソンラシブを既存薬よりも高い治療効果を示す「画期的治療薬」に指定) 日経新聞・朝刊 2026.4.14 一部改変 コメント; 文中の「RAS阻害剤」は、降圧剤として現在、高血圧患者に処方されていますが、きわめて安価な薬剤です。 薬価がどのくらいになるのでしょうか。

糖尿病患者は「薬剤支出に見合う恩恵」を享受せず

  糖尿病患者は「薬剤支出に見合う恩恵」を享受せず 米国の実態調査 https://medical-tribune.co.jp/rensai/articles/?blogid=11&entryid=571026 ばかにならない糖尿病治療薬のコスト 日本の処方薬売り上げを見ると、多くの抗がん剤が上位を占める中、糖尿病治療薬もトップ20内に3剤がランクインしていた。   一方米国では、糖尿病治療薬への支出額高騰を、「臨床転機」という観点から「要検討」と主張する論文が現れた。 米国における糖尿病治療薬への患者支出は、想像以上に急騰していた。それに見合うだけのメリットを、患者は享受できたのだろうか。 糖尿病治療薬支払額は2012年以降に急騰 最近出た、米国の論文では、1年・1人当たりの糖尿病治療薬支払額は2000~22年に、335%も増加していた、という結果が出た。   ただし、この上昇は一定のペースで続いたわけではなく、2000~12年の上昇幅は平均して29米ドル/年と、比較的穏やかだった。しかし2012年以降、事態は一変する。上昇幅は年間平均224米ドル/年へ跳ね上がった。 支出急騰の主因は「新規非インスリン製剤」 一体何が起きたのかを、糖尿病治療薬別に検討した論文がある。 対象となった薬剤は ①  従来経口薬(メトホルミン、SU薬、チアゾリジン系薬、αグルコシダーゼ阻害薬、グリニド薬) ➁  新規非インスリン製剤(GLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害薬、DPP-4阻害薬、アミリン誘導体、およびこれらを含む配合剤) ➂  ヒト・インスリン製剤 ④  インスリン誘導体 の4種類である。  解析の結果、2012年以降の治療費支出急増をもたらしたのは、「新規非インスリン製剤」への支払い増加が主因だった結論づけられた。   「新規非インスリン製剤」への支払額増加幅を追うと、2005~14年には1人当たり36米ドル/年だったが、2014~22年には204米ドル/年まで急騰していた。   「従来経口薬」と「ヒト・インスリン製剤」への1人当たり年間支出は、2014~22年にかけておおむね減少傾向を示し、インスリン誘導体は2013~22年まで、1人当たりほぼ64米ドル/年で一...

高血圧と減塩効果

高血圧と減塩効果 高血圧患者における塩分制限は、 血圧を低下させる効果的な非薬物療法である。  世界保健機関 (WHO) は1日5g未満の食塩摂取を推奨しており、 日本高血圧学会も高血圧患者に対して1日6g未満を目標としている。 https://www.carenet.com/news/general/carenet/61350 (要ログイン) 過剰な塩分摂取は高血圧のリスクを高め、 脳卒中や心血管疾患、 腎臓病のリスク増加につながる。  塩分制限による血圧低下効果は、 高血圧患者でより顕著だが、 正常血圧者でも認められる。 ■ 塩分制限の目標  WHOは成人に対し1日5g未満の食塩摂取を推奨している。  日本高血圧学会は、 高血圧患者の食塩摂取目標を1日6g未満としている。 ■ 塩分制限による血圧低下効果  複数の研究で、 塩分摂取量を減らすことで収縮期・拡張期血圧が有意に低下することが示されている。 例えば、 1日4.4gの塩分摂取量削減で、 収縮期血圧が平均4.18mmHg、 拡張期血圧が平均2.06mmHg低下したという報告がある。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23558162/ ■ 塩分摂取量の評価方法   24時間蓄尿によるナトリウム排泄量測定が最も正確な評価方法とされるが、 日常的には随時尿を用いた推定式 (田中の式など) も利用される。 また、 尿中ナトリウム/カリウム比 (尿ナトカリ比) も、 食塩とカリウムの摂取量バランスを評価する指標として有用である。 ■ 減塩以外の生活習慣改善  高血圧治療においては、 減塩に加えてDASH食 (Dietary Approaches to Stop Hypertension) のような健康的な食事、 適度な運動、 体重管理、 飲酒制限なども推奨される。  特にDASH食は、 他の非薬物療法と比較して血圧低下効果が最も高い可能性が示されている。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32975166/ ■ 薬剤との関連  厳重な減塩療法中の患者にアンジオテンシン変換酵素阻害薬 (ACE阻害薬) やアンジオテンシンII受容体拮抗薬 (ARB) を投与する際は、 初回...

HDL亜分画

  HDL亜分画 HDLは多様な亜分画から構成され、 それぞれが異なる生理機能を持つ。  HDLコレステロール (HDL-C) 値は心血管疾患 (CVD) リスクと逆相関するが、 HDLの機能性や粒子数、 亜分画の組成がCVDリスクにより強く関連すると考えられている 。 HDLは、 そのサイズやアポリポタンパク質含有量によって多様な亜分画に分類される。  HDLの機能には、 コレステロール逆転送、 抗炎症作用、 抗酸化作用、 血管内皮機能の促進などがある。 コメント; 一般的には、 コレステロール逆転送のみが強調され「 抗炎症作用、 抗酸化作用、 血管内皮機能の促進」についてはあまり触れられていません。 ■ HDL亜分画と機能性 HDLはコレステロールを末梢組織から肝臓へ輸送する 「コレステロール逆転送」 において重要な役割を果たす。 小型の高密度なHDL3は、 LDLの酸化損傷からの保護に特に有効である可能性がある。 HDLの抗酸化作用は、 パラオキソナーゼ1 (PON1) などの酵素によって媒介される。 HDLの機能性は、 その構成成分 (アポリポタンパク質、 酵素、 脂質など) によって影響を受ける。  例えば、 2型糖尿病患者では、 HDL-C値が正常でもHDLの機能異常が認められることがある。 コメント; HDL2については言及されていません。 ■ 臨床的意義 従来のHDL-C値だけでなく、 HDL粒子数や亜分画の測定がCVDリスク予測の改善に繋がる可能性が示唆されている。 HDLの機能性に着目した治療法の開発が期待されているが、 HDL-Cを増加させる薬剤がCVDイベントを減少させるとは限らないことが示されている。 肥満患者における急速な体重減少は、 HDLの構造と機能性を改善する可能性がある。 コメント; 「急速な」体重減 少が重要というところが少し引っ掛かります。
  DES留置後AF患者、 NOAC単剤は併用療法に非劣性 https://hokuto.app/post/YyXEvFg5yky7745GFdpz (要ログイン) ・ 韓国の研究グループは、薬剤溶出ステント (DES) 留置1年以上の心房細動 (AF) 患者を対象に、 純臨床有害事象 (NACE) を評価項目として、 非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬 (NOAC) 単剤療法のクロピドグレル併用療法に対する非劣性を検証した。   ・ その結果、 12ヵ月時NACEの発生率は、 単剤療法群で9.6%、 併用療法群で17.2%、 絶対差-7.6%㌽ (95.2%CI -11.9~-3.3%㌽;非劣性p値<0.001) であり、 非劣性が示された。  試験結果はNEJM誌に発表された。  ・ガイドラインでの推奨にもかかわらず、 薬剤溶出ステント (DES) 留置後の心房細動 (AF) 患者への非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬 (NOAC) 単剤療法に関するエビデンスは不足している。 ・多施設共同非盲検無作為化比較試験であり、 DES留置後1年以上のAF患者を対象に、 NOAC単剤療法群の併用療法 (NOAC+クロピドグレル) 群に対する非劣性を検証。 ・主要評価項目は、 全死亡、 心筋梗塞、 ステント血栓症、 脳卒中、 全身性塞栓症、 大出血または臨床的意義のある非大出血の複合からなる純臨床有害事象 (NACE) とし12ヵ月追跡。 ・DES留置後1年以上のAF患者に対するNOAC単剤療法は、 NACEにおいて、 併用療法に対し非劣性であった。
  新たなリスクスコアにより頸動脈狭窄に対する不要な手術を回避 https://medical-tribune.co.jp/news/articles/?blogid=7&entryid=567431 (要ログイン) 頸動脈リスク(carotid artery risk;CAR)スコアと呼ばれる新たなスコアリングシステムにより、頸動脈狭窄が確認された患者に対する頸動脈血行再建術の必要性を判断できる可能性のあることが、新たな研究で示唆された。英国やオランダなどの研究者らが開発したCARスコアリングシステムは、頸動脈狭窄の程度(狭窄率)や医療歴などを考慮して5年間の脳卒中リスクを予測する。 この研究結果は、「 The Lancet Neurology 」5月号に掲載された。   頸動脈狭窄患者に対しては、通常、脳卒中リスクを軽減するために頸動脈血行再建術が行われる。 しかし研究グループによると、この治療法は、30年以上前に実施されたランダム化比較試験の結果に基づいているという。   論文の責任著者は今回、症候性または無症候性の頸動脈狭窄患者を対象に、至適内科治療(optimised medical therapy;OMT)による管理の有効性と安全性を、OMTに加え血行再建術も受けた患者との間で比較した。 OMTは、低コレステロール食、脂質低下薬、降圧薬、血液凝固阻止薬などで構成されていた。   対象者は、CARスコアに基づき脳卒中リスクが低~中等度(20%未満)と判定され、頸動脈に50%以上の狭窄が確認された18歳以上の者とし、OMTのみを受ける群(OMT群、215人)とOMTに加えて頸動脈血行再建術も受ける群(OMT+血行再建術群、214人)に1対1の割合でランダムに割り付けられた。 主要評価項目は、 1)手術や治療後の死亡、致死的な脳卒中または心筋梗塞の発生、 2)非致死的な脳卒中の発生、 3)非致死的な心筋梗塞の発生、 4)画像検査で新たに発見された無症候性脳梗塞とし、2年後に評価された。 OMT群のうち1人は研究への参加同意後に離脱したため、428人(平均年齢72歳、男性69%)を対象に解析が行われた。   その結果、主要評価項目のいずれについてもOMT群とOMT+血行再建術群の間で有意な差は認められず、血行...
米国糖尿病学会「糖尿病の標準治療2026」発表 https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/202512/591372.html 米国糖尿病学会(ADA)は2025年12月8日、「糖尿病の標準治療2026」(Standards of Care in Diabetes―2026)を発表した。 本文書は、米国における「糖尿病診療ガイドライン」と位置付けられる。 2026年版も新たなエビデンスに基づいて多くの推奨が書き換えられており、心血管疾患や腎疾患のリスクが高い成人の高血圧合併糖尿病患者の降圧目標は、収縮期血圧(SBP)で120mmHg未満に厳格化された。 高血圧合併糖尿病患者に対する降圧治療に関しては、「安全な到達」を前提としながらも、心血管疾患や腎疾患のリスクが高い糖尿病患者に対しては降圧目標を一段下げて、SBP 120mmHg未満を推奨した。 コメント; 降圧目標も血圧値が独り歩きしています。多くのGLがそうですが、どのような条件での血圧値なのかの説明がが欠落しています。 その根拠になったのが、前年の2025年版の文献レビュー期間以降に発表されたBPROAD試験とESPRIT試験だ。 BPROADは、心血管疾患のリスクが高い2型糖尿病患者を対象に、降圧目標をSBP120mmHg未満とする厳格管理と、同140mmHg未満とする標準管理を比較。 主要評価項目である複合心血管イベントは、厳格管理群で21%有意に低下した。 ESPRITも同様なデザインの臨床試験で、39%が2型糖尿病患者という患者集団を対象とし、厳格管理群で12%の有意なリスク低下を認めた。 現行の日米欧の高血圧関連ガイドラインでは、高血圧合併糖尿病の降圧目標は130/80mmHg未満となっている。 いずれも上述の2試験の結果が明らかになる前に編集されたものであり、同試験のエビデンスは反映されていない。 今後、各国の診療ガイドラインが追従するかも注目される。 コメント; 収縮期血圧(SBP)のみであるところが米国的に感じました。以前読んだ論文で、収縮期血圧のみで統計処理をした方が、よりよい(?)相関が得られると書かれていました。たしかに拡張期血圧は測定値自体に不確実性があり、加齢とともに変化(拡張期血圧値の低下)する事実があり、理にかな...