肝臓や筋肉、心臓の「第三の脂肪」
肝臓や筋肉、心臓の「第三の脂肪」 たまりやすい人は?
皮下脂肪、内臓脂肪に続く第三の脂肪といわれているのが「異所性脂肪」。肝臓や筋肉、心臓などにたまり、脂肪肝や糖尿病、心筋梗塞などを招く。
40歳以上の男性、閉経後の女性は特に注意が必要となる。
脂肪はたまる場所によって3つに分けられる。
皮膚の下の「皮下脂肪」、腸などの周りの「内臓脂肪」、そして本来たまるはずのない場所に蓄積する「異所性脂肪」。
皮下脂肪に収まりきらない脂肪が内臓脂肪になり、それでもあふれた脂肪が異所性脂肪になると考えられている。
もともと脂肪は脂肪細胞に蓄積されるものだが、異所性脂肪の場合は臓器の細胞内に入り込むため、臓器自体の働きが阻害されてしまう。
糖尿病や狭心症などを招く
その代表が「脂肪肝」。
肝細胞に脂肪がたまってフォアグラのような状態になり、徐々に肝機能が損なわれる。
運動不足や脂肪のとり過ぎから、筋肉に脂肪がたまる「脂肪筋」もある。
筋肉は糖を貯蔵する最大の臓器だが、脂肪筋になると糖を取り込むインスリンの働きが低下し、糖尿病を招きやすくなる。
心臓にたまる異所性脂肪も注目されている。
肥満が進むと心臓周囲に脂肪が蓄積し、さらに心臓の血管の内外や心筋細胞にもたまってくる。
それが長年にわたって心臓を障害し、動脈硬化を促進したり、心筋細胞を線維化して硬くしたりする。
その結果、狭心症や心筋梗塞、心不全、不整脈のひとつである心房細動が起こりやすくなる。
最近の研究では、腎臓周囲にたまる異所性脂肪(脂肪腎)が慢性腎臓病(CKD)の発症リスクを上げることもわかった。
コメント;
肝臓と腎臓は隣接臓器です。腹部エコーで脂肪肝の診断をする際には、肝臓と腎臓を同時に描出して、腎臓に対する肝臓のエコーの濃淡で診断します。
(肝腎コントラスト)
したがって、腎臓周囲の脂肪は両者の間隙を計測すれば簡単に把握できます。
太った人ほどたまりやすいが、そうでない人も注意
異所性脂肪は太った人ほどたまりやすいが、そうでない人も油断できない。
日本人は欧米人に比べ、遺伝的に皮下脂肪の貯蔵量が少ないため、異所性脂肪がたまりやすい。
実際、見た目はさほど太っていないのに脂肪肝や脂肪筋になっているケースは珍しくない。
では異所性脂肪が蓄積しているサインとは何か。
内臓脂肪が多い人は異所性脂肪も多い可能性があるので、お腹周りが太めの人は要注意。
体重も目安になる。
一般に男性は 40歳以降、女性は閉経後に異所性脂肪がつきやすくなる。
20歳の頃に比べ、体重が 7キログラム以上増えていたら異所性脂肪がたまっていると考えていい。
また血液検査の数値も参考になる。
肝機能を示すALT値が 30以上、あるいはそれ以下でも以前より増えてきているなら、脂肪肝や脂肪筋の可能性がある。
中性脂肪値や血糖値が高い場合も要注意。
食事や運動の効果が早く現れやすい
対策は、食事と運動の2本柱。
糖質や脂肪の過食を控え、動脈硬化の原因になる飽和脂肪酸を減らすことが重要。
牛肉や豚肉を控え、代わりに魚や鶏肉、オリーブ油などをとるようにする。
コメント;
牛肉や豚肉に比べ鶏肉は安価でおすすめだが、中には鶏肉が苦手な人も稀にいる。
運動は、有酸素運動で脂肪を燃やし、筋トレで筋肉を増やす。
目標は1日8000歩、こまめに動いて活動量を増やしたい。
脂肪筋や脂肪肝は、実は食事や運動の効果が早く現れやすい。
体重が最初に 1、2キログラム減少しただけで筋肉や肝臓の脂肪は大きく減り、インスリンの働きも改善することが多い。
体重に変化がなくても、へそ周りの腹囲が減ってきたら、内臓脂肪や異所性脂肪が減少している「しるし」だという。
場違いな場所に居座った怖い脂肪、早めに退治しよう。
(日経新聞・夕刊 2024.5.11 一部改変)
「異所性脂肪」の蓄積が疑われる方は、以下の方々です。
□ 脂肪や糖質の摂取量が多い
□ 内臓脂肪が多い
□ 腹囲(へそ周り)が男性85cm以上、女性90cm以上
□ 20歳の頃の体重と比べて、7kg以上増えている(女性は閉経後の体重の場合)
□ 脂肪肝と診断されている
□ 肝機能ALT値が30以上
□ 中性脂肪値や血糖値が高い
□ あまり運動をしていない
異所性脂肪について
https://www.kakogawa.hyogo.med.or.jp/memo/item7144
肥満により血管(動脈)周囲の脂肪が増加すると、脂肪から産生された物質が血管の壁に直接影響し、悪玉コレステロールの蓄積による仕組みとは異なる仕組みで動脈硬化を引き起こすと考えられてきています。
特に心臓周囲脂肪では心臓を栄養する血管である冠動脈の動脈硬化を引き起こし、狭心症や心筋梗塞の原因となる可能性が示唆されています。
「異所性脂肪」っていったい何?
https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/life/166.html
・皮下脂肪や内臓脂肪が少なく、健診などで肥満とは診断されなかったとしても、第三の脂肪はついている可能性があります。
・見た目で太っていれば自覚も対処もできますが、見た目で簡単にわからないのが異所性脂肪です。
・ちなみに、異所性脂肪が蓄積しやすいのは女性より男性で、年代としては、男性で30~50歳代、女性で50歳代後半以降と考えられています。
・運動習慣としては、有酸素運動が有効だとされています。
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