米国糖尿病学会「糖尿病の標準治療2026」発表https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/202512/591372.html

米国糖尿病学会(ADA)は2025年12月8日、「糖尿病の標準治療2026」(Standards of Care in Diabetes―2026)を発表した。

本文書は、米国における「糖尿病診療ガイドライン」と位置付けられる。

2026年版も新たなエビデンスに基づいて多くの推奨が書き換えられており、心血管疾患や腎疾患のリスクが高い成人の高血圧合併糖尿病患者の降圧目標は、収縮期血圧(SBP)で120mmHg未満に厳格化された。


高血圧合併糖尿病患者に対する降圧治療に関しては、「安全な到達」を前提としながらも、心血管疾患や腎疾患のリスクが高い糖尿病患者に対しては降圧目標を一段下げて、SBP 120mmHg未満を推奨した。

コメント;

降圧目標も血圧値が独り歩きしています。多くのGLがそうですが、どのような条件での血圧値なのかの説明がが欠落しています。


その根拠になったのが、前年の2025年版の文献レビュー期間以降に発表されたBPROAD試験とESPRIT試験だ。

BPROADは、心血管疾患のリスクが高い2型糖尿病患者を対象に、降圧目標をSBP120mmHg未満とする厳格管理と、同140mmHg未満とする標準管理を比較。

主要評価項目である複合心血管イベントは、厳格管理群で21%有意に低下した。

ESPRITも同様なデザインの臨床試験で、39%が2型糖尿病患者という患者集団を対象とし、厳格管理群で12%の有意なリスク低下を認めた。


現行の日米欧の高血圧関連ガイドラインでは、高血圧合併糖尿病の降圧目標は130/80mmHg未満となっている。

いずれも上述の2試験の結果が明らかになる前に編集されたものであり、同試験のエビデンスは反映されていない。

今後、各国の診療ガイドラインが追従するかも注目される。

コメント;

収縮期血圧(SBP)のみであるところが米国的に感じました。以前読んだ論文で、収縮期血圧のみで統計処理をした方が、よりよい(?)相関が得られると書かれていました。たしかに拡張期血圧は測定値自体に不確実性があり、加齢とともに変化(拡張期血圧値の低下)する事実があり、理にかなった考え方と思われます。

一般的に、欧米医学のGLは集約化、簡素化を目指すのに対し、日本のGLは複雑化、細分化を目指すような印象を抱くには私だけでしょうか。


一方、高齢者に対しては、原則は青壮年と同じ130/80mmHg未満を目標とするが、健康状態が優れないなどの条件下にある患者では、140/90mmHg未満という緩徐な目標も可とした。


また、これまでもスタチンとフィブラート系薬の併用は心血管イベントのさらなるリスク低下が認められず推奨できないとしていたが、2026年版ではニコチン酸系薬とω3不飽和脂肪酸製剤も、スタチンとの併用は非推奨とされた。


これ以外には、「症候性心不全を合併した糖尿病患者の予防と治療」と「2型糖尿病患者の動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の予防」を目的とした2つのフローチャートが新設された。


全ての患者でCGMの活用を推奨

ここ数年、主にSGLT2阻害薬やグルカゴン様ペプチド(GLP)-1受容体作動薬の適応拡大に伴い、血糖降下薬選択のアルゴリズムは時に大幅に変更されてきた。

だが、2026年版の「Pharmacologic Approaches to Glycemic Treatment」に掲載されている血糖降下薬選択のアルゴリズムは、2025年版から大きな変更点はない。

推奨に関しても、GLP-1受容体作動薬、グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)/GLP-1共受容体作動薬の臨床試験の展開に合わせた、細部の変更が多い。


その1例として、肥満と症候性の左室駆出率が保たれた心不全(HFpEF)を伴った成人2型糖尿病患者に対する血糖降下療法には、効果が認められたGIP/GLP-1共受容体作動薬、もしくは効果が認められたGLP-1受容体作動薬を含むべきとした。

2025年版では、GLP-1受容体作動薬のみの推奨だった。


進行した慢性腎臓病(CKD)を伴った2型糖尿病患者に対するGLP-1受容体作動薬の推奨に関しては、透析患者においてもGLP-1をベースとする薬剤は安全な導入や長期投与が可能と追記された。


持続血糖モニター(CGM)の推奨範囲は徐々に拡大され、2026年版では血糖管理に役立つ全ての患者において、任意の時期におけるCGMの使用が推奨された。


癌免疫療法に関して、同治療を行っている患者が高血糖を発症した場合、直ちにインスリン療法を開始すべきか検討すること、mTOR阻害薬やPI3K阻害薬に伴う高血糖の場合はメトホルミンの使用を考慮することなどの推奨が新設された。

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