メタボ健診「腹囲2センチ・2キロ減」
達成でも血圧悪化2割 健保組合が初分析
大手企業の健康保険組合でつくる「保険者機能を推進する会」は40〜74歳が受ける特定健診(メタボ健診)に関する初の分析結果をまとめた。国が指導の対象者に促す「腹囲2センチメートル・体重2キログラムを減らす」との目標は血圧リスクには効果が限られ、改善が必要だと指摘した。
32の健保が協力し延べ約70万人の記録を集めた。2023年度の結果を軸に同じ人の21〜
24年度の4年分を調べた。
特定健診は腹囲や体格指数(BMI)、血糖、脂質、血圧のデータなどに基づき、生活習慣病のリスクがあると判断した人を特定保健指導の対象とする。高リスク者には3ヵ月以上にわたって食事や運動習慣の改善を促し、2センチ2キロ減の達成を目指す。
分析では血圧が特定保健指導を受ける基準の人のうち、2センチ2キロ減を達成して
も翌年度に悪化した人が計22.2%いた。受診を勧める基準に該当したのは19.8%、服薬に至った人が2.3%だった。未達成者を含む全体では翌年度の悪化は計28.6%だった。
高血圧は心筋梗塞などの病気のリスクを高める。翌年度に特定保健指導の基準未満へと改善したのは2センチ2キロ減の達成者の49%、全体では40%を占めた。
血圧と比べると脂質や肝機能は指導の効果が高い。脂質は特定保健指導の基準の人が翌年度に悪化した割合は全体で計10.7%、2センチ2キロ減の達成者では計7.3%だった。肝機能は全体で計16.5%、達成者では計8.9%だった。
保険者機能を推進する会は分析結果を踏まえ指導内容は一律ではなく疾病リスクに応じたカスタマイズを検討すべきだと提起する。例えば血圧のリスクが高い人にはまず減塩などの食事習慣の改善目標を設けるといった工夫が考えられる。
同会によると積極的支援と呼ぶ高リスク者向けの特定保健指導には1人あたり4万〜5万円ほどかかる。2センチ2キロ減に向けた食事の管理や運動習慣の定着といった指導を民間の事業者に委託するケースが多い。
財源は主に社会保険料だ。保険料の引き上げが現役世代の重荷になるなかで、健保による施策の費用対効果の検証は欠かせない。高市政権が掲げる「攻めの予防医療」の実現にもつながる。
23年度に特定保健指導を受けた7万3千人余りの内訳をみると、21、22両年度に指導の対象外だったのは25%にとどまる。4分の3は「常連」だった。
指導を受ける状況から脱しやすいのは常連よりも新規の対象者だ。翌24年度に状況が改善したのは21、22両年度に対象外だった人では5割に上ったが、全体では3割ほどにとどまった。
日経新聞・朝刊 2025.12.4
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